Friday, April 25, 2003

帰宅

霧が深くて、なかなか着陸できない。私を乗せた飛行機は、熊本の上空をぐるぐると旋回した。50分遅れの到着。お兄ちゃんが背伸びをしてきょろきょろと私の姿を探しているのが見えた。1年ぶりの家族での夕食。お母さんのだご汁がじんわりしみわたる。私が大好きなものをよく知っているお母さんのご馳走。1 年ぶりの湯船。ホコリひとつなく掃除された私の部屋。お兄ちゃんたちが摘んできてくれた新鮮なたらの芽。懐かしいアルバムの写真。大事にしまっておいたお気に入りのジュエリー。

ひとつひとつの久しぶりに、ひとつひとつ感動する気持ちを味わう。そういう気持ちそのものが、私にとっては帰宅の醍醐味だということを、たぶん自分でよくわかっている。日常を取り戻していくスピードの予測がつくから、そういう気持ちを貴重に感じる。そしてあんまり喋らなくても、嬉しい気持ちを隠し切れないでいるお母さんの表情にも、ちゃんと気づいている。年を重ねるにつれ、素直に、心配掛けてごめんね、と言えるようにもなった。ゴールデンウィークには阿蘇へわらび摘みに行くことになった。久しぶりの帰宅は、私には帰る場所と迎えてくれる家族があるという幸せに気づかせてくれる瞬間。